2015年6月18日木曜日

こんなパンを同梱しています~

ワインを受注すると、こんなパンを同梱させてもらってます。
このパンは、
「単体でワインと合わせる事」と、
「翌日のトーストを前提とした加水率」で焼いております。
基本的にパンとは、焼きたてが美味しいものであり、
作り手側も、出来立てホヤホヤのホカホカを、
食べてもらいたいんでしょう。

しか~し、当店の場合だと、
運送業者が「翌日納品」するのが基本です。
なので、トーストして最高に美味しいパンにしております。

一番のこだわりは、加水率です。
加水率とは、
小麦粉の重さを100として、どれだけ水分を配合して
生地を造っているかの値です。
通常の表皮の硬い、いわゆるハードパンだと75%までです。
水分量が多くなると、ベチャっと横方向にダレて、
成形できなくなるからです。

当店の場合ですと、加水率は100%を実現しています。
ここに至るまでは、試行錯誤の連続でした・・・

材料
10P09(国産精白粉・発酵中種)130g
赤サフ ドライイースト 1g
白神酵母 1g
モルトパウダー0.2g
中種用軟水130ml

 (左上から白神酵母、ドライイースト、モルトパウダー)

ライ麦全粒粉(本体)35g
古代小麦全粒粉(本体)35g
グラハム粉(本体)35g
マルチシリアル(本体)15g
ゲランド塩4g
本体用 軟水の熱湯120ml

 (左上から、熱湯を注いで、湯種にします
→中種と混ぜる生地を、とにかく引っ張らずに混ぜる)

クルミ50g
ブルーチーズ(クランブル)15g

(翌日の成形です。)

このパンは、中種法と言う発酵手法を採ってます。
発酵が安定させやすい精白粉を発酵の素にします。
中種は、軟水と混ぜ合わされ、35度30分発酵させます。

中種を発酵させている横で、全粒粉の本体を湯種にしていきます。
湯種とは、小麦粉に含まれるデンプンに熱を加え、ノリ状にする
手法です。本来は、精白粉で食パンなどを焼く場合に用いられ、
食感のモチモチ感を演出します。

当店の場合だと、食感より、全粒粉の含まれる繊維質やフスマ分を
熱湯でふやかせて、水分を抱き込ますための湯種です。
現状の配合比率は、精白粉130g、全粒粉120gとなっております。

全粒粉を多く配合する目的は、2つありまして、
ひとつは、水分の保持ですね。
もうひとつは、
玄麦のフスマやヌカの持つ素材の旨みを前に出す事です。
ただ、多く入れれば、それで美味しいか?なんですが、
物には、頃合いと言うものがありまして、精白粉をやや多くした
現状の比率、52%と48%が一番かな?と判断しました。
仮に全粒粉勝ちで配合すると、野暮ったい味わいになるんで、
もし、コピーして焼こうと言う方は、ご注意くださいませ。

全粒粉と中種を混ぜ合わせたら、
冷蔵庫で一晩オーバーナイト発酵させます。

全粒粉を多く配合すると、
表皮が、クッキー様の、ザクザク食感に焼きあがります。
かなり、独特なんで、印象に残る表皮なんですが、
生地を引っ張ってグルテンを生成してしまうと、
分厚い表皮が噛みきれなくなるんで、要注意です。
グルテンを造らずに生地のまとまり感を高めるのに
湯種にして、デンプンを「餅状」にして、
まとまり感を高めていますが、グルテンは作ってないんで、
キレのある食感が維持されています。

仕込み水に軟水を使っているのも、キレをよくするためなんです。
これは、精白粉を多く使ってパンを焼く場合にコントレックスを使い
まとまり感を上げる手法の真逆なんです。
コントレックスを使うと、生地のモチモチ感が高まって、
まとまり感が上がり、成形後の横方向のダレが無くなりますが、
キレが悪くなります。

クルミとブルーチーズを入れるのも、単に味わいの演出だけでなく
高加水で、横にダレるのを、クルミを積み重ねた部分を芯として、
パンの形を維持するのに活用しています。

多く含まれる水分を、適正な値まで加熱して抜いていくんですが、
水分を少ない状態で焼くのと、水分多く含んだ生地を焼くのを
比較した場合、仕上がり重量を厳密に管理して、
パンに残ってる水分量を同じにしても、断然高加水率の方が
美味しく焼きあがります。これは、興味深いですね。

パンの中の水分量が多いと、
加熱され、内部の水蒸気が多く発生するんで、
パンが大きく膨張するようになります。
パンの表面に走る裂け目は、内部の膨張が激しいからなんです。

焼成は、金属ボウルを被せる「被せ焼き」を採っています。
ステンレスのボウルごと250度に予熱して、25分焼成します。
次にボウルを取って170度に下げて20分、
生地の焼けムラを防ぐ意味で90度回転させ、160度20分焼きます。

 左からボウル被せ25分焼き終えてボウルを取ったところ
170度20分焼いたところ→160度20分焼いて計量。

ここまでで、パンに適正な焼け色が着きます。
こんがりした、色合いですが、水分量が高過ぎですので、
ここから120度に下げて、
焼け色を着けずに、水分だけを飛ばします。

120度で20分焼成し、470gを目標にします。
509g→498g→489g→482g→473gと変化して行きます。

翌日のトーストで、表皮のバリバリ感が蘇り、
中身のもっちりしてるがキレる食感の
コントラストが楽しいパンになっています。

当店あくまで、酒屋でして、
パン屋さんではございません。
なので、このパンは、サービスとさせてもらっております。
単体で、ワインと合わせられる味付けとなっております。

きっと食べた事無い味わいだと思いますよ~
長文読破、お疲れ様でした。


















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