2020年5月28日木曜日

洗うと落ちる農薬より、作物の中に入ってる肥料の方がコワイ!!

今週は、小4娘がついてきました。
彼女のミッションは、夏休みの自由研究の取材です。

研究テーマは、稲作なんですと。

松崎さんにお付き合いいただいたんですが、質問の内容が
「お米を作るときに何を一番大事にしてますか?」と言う、なんともざっくりとしたハナシだったんですが、松崎さんの回答は、即答に近いかんじで「苗半作です」と。

「なえはんさく」と発音するんですが、
要するに、いい苗を作れれば、稲作の半分が終わった、と言う意味なんですと。いかにいい苗を育てて田植えするか。

これが、まずは大事なんですね。

いい苗ができて、次は田植えなんですが、次の段階もこだわりがあるんです。

「代仕」「しろし」と発音します。

田植え前の田んぼの苗代(なえしろ)を仕上げるんですが、苗を植える前に、稲の穂が出るまでに必要な肥料分を綿密に計算し、必要最小限の肥料を入れる「超減肥料農法」をしてもらっています。

「残留肥料米」←聞きなれない言葉だと思います。

稲穂が出た段階で、農地に肥料分が残っていると、肥料がそのまま実である米粒にたまってしまうんです。

つまり、お米に窒素系の肥料が蓄積した状態になるんです。これを残留肥料米と呼んでます。

お米を食べて「苦いな?」って感じたこと、ないですか?その苦味こそが、肥料の味なんです。

残留肥料米を作らないためにやらなければならない事は、穂が出た段階で、田んぼには肥料分が一切残ってないように代仕(しろし)の段階で施肥する量を厳密に計算し、慎重に
施肥をしなければならないんです。


田植えが終わり、苗がしっかり活着(かっちゃく)したら、田んぼに生えてくる雑草や水草を櫛の歯のような農機具を引っ張って田んぼの中を歩いて引き抜かねばなりません。

肥料の量をギリギリまで控えてるんで、稲以外の雑草が肥料を消費してしまうと、穂を支えきれない状態になってしまいます。

なんともお手間要りな農法なんです。

いい苗ができて、少ない肥料で育てていくんですが、穂が出て、しっかりお米に光合成で作られた養分がたまっていくと、重くなった穂を支えられるようにしっかりした茎を作らねばなりません。

丈夫な茎を作るためには、根っこをしっかり張らせなければなりません。

根っこをしっかり伸ばすためには何が重要かといいますと、酸素なんです。

「土用干し」(どようぼし)と言う農作業があります。

土用、つまり、7月の終わりころに、田んぼから水を抜いて「干す」んです。

水が抜かれて、田んぼにひび割れができるのを待ちます。

ひび割れができたら、田んぼに水を戻します。

ひび割れたら、戻し、2日ほどおいて水を抜き、ひび割れさせて戻す。

これを3回程度繰り返すのが土用干しです。

ひび割れから土壌に酸素が供給され、根がしっかりと育っていくんです。

雑草と水草を取り除くために、田んぼの中を歩くことによって、土壌に酸素が供給されます。

これも、健全な根っこを育てるのに一役買っています。

苗半作とおっしゃってますが、残りの半分も、かなり手間なんですけどね。

小4娘には、要点をまとめて伝えなおして、
彼女の自由研究は、めでたく完成しましたとさ^^

生産者の方と交わすこんな会話が、実は非常に大事なんですよね。

娘にわかるように話を聞いて伝えることで、
僕自身の知見も深くなってきます。

こんなことの繰り返しです。

今年も、美味しいお米、頼みます。

今のところイイカンジです。


この記事を書いた2017年は、小4だった娘も、もう中学一年生です。そしてワタクシ、53歳、早いものです^^

まだまだ頑張らなきゃ。

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