アサヒのリッチ、明らかに味わいが変わって
います。かなり、大文字屋の好みの基準に近
づいてきてるんですが、何かがチ・ガ・ウ・
そう、何かが違う、惜しいんですよ。
大文字屋が第三のビールを仕入れるか否かを
決める基準は、後味なんです。
第三のビールとは、コスト最優先で、発酵す
ら放棄した、ある意味限界な商品です。
作り方としては、炭酸水にアルコール分を加
え、香りと味わいについては、香料と調味料
を添加することで製品に仕上げています。
いわゆるビールや発泡酒は、麦芽を酵母の力
で発酵させて、ホップを加えて製品に仕上げ
るのとは、本質的な作り方に大きな違いがあ
るのがわかります。
そぎ落としていくと、酵母の存在なんですよ
ね。生き物である酵母が安定的な発行を維持
できる環境をしっかり狂うことなく管理して
行くことには手間とお金がかかります。
対して、出来上がった素材、炭酸水とか、ア
ルコールのベースになるウォッカ、香料に調
味料を、レシピ通りに混ぜ合わせれば完成す
る第三のビール。どう考えたって第三の方が
安上がりで、自然の力を借りないんで、ロス
も少ないですよね。
結局、第三のビールは、素材方向性の変更は
営業会議の席で容易に可能なのです。
対して、自然の発酵と言う力が絡むビールや
発泡酒は、会議の席だけでは安直にレシピを
変える事は出来ないんです。
なんで、味わいを市場の要求に即してクイッ
クに変えられるんですが、ここまでエゲつな
く変えてもいいんですか??と言いたいです
ね。
その流れで、アサヒのリッチなのです。
元々アサヒの第三のビールの構成は、スッキ
リした、主張の希薄な方向性のクリア、後味
にウォッカのアルコール感をドカンと残して
飲み応えを感じさせるリッチ、この2アイテ
ムの中間を採った極上切れ味でした。
大文字屋的には、中間を採った極上が一番好
みに合ったので、仕入れて、丁寧に販売して
おりました。が、2月末をもって製造終了。
ブランドの統廃合ですね。アサヒとしては、
クリアとリッチを残す方針になったんでしょ
う。
ある日、行きつけの吉祥院の業スーで外観の
変更があったクリアを発見したんです。外観
の違い=味わいの違いなんで、即座に飲んで
みました。この時の味わいは、クリアと極上
の味わいが、信じられないんですが、同じだ
ったんです。そう、違う見た目の缶から同じ
味わいの液体が出てくる不思議・・・
この時点で、アサヒに確認したところ、極上
を生産終了するとの事だったんです。
当店では、すでに極上を評価下さるお客様が
出てこられ、リピート下さっていたんですが
生産打ち切りなら、しかたないですよね。
さらに1か月ほど経過して「すっきりの中に
うまみ」の記載が消えた缶を発見したので飲
んでみました。今度は、クリアの缶からリッ
チの味わいと同じような液体が出てくる始末
ここで、当店の第三のビールを仕入れるか否
かの基準を明確にしておきましょう。
第三のビールであってもナチュラルな味付で
なくてはダメ⇒後味にベースのアルコールで
あるウォッカを残しちゃダメ、そういう商品
は、絶対仕入れない。
この価値観で、世間で売れているであろうサ
ントリーの紺色の金麦、アサヒのリッチ、ク
リア、レシピ変更前の本麒麟を仕入れており
ませんでした。
本麒麟は「新」と記載がある現行のレシピが
劇的に変わったんで、大嫌いからダイスキに
変わって、仕入れて販売しています。
しかし、大嫌いからダイスキですよ・・・
ちなみに、一番売れている第三のビールは、
ぶっちぎりで本麒麟なのだそう。という事は
大文字屋が大嫌いと断じたレシピを多くの人
が評価をしたので、ぶっちぎりで売れていた
わけですよね。
元々のレシピを評価してる人にしたら、全く
違う味わいなのです。ホントにこれでいいん
だろうか。
思い起こせば、第三のビールが市場に投入さ
れ始めた頃「安くてすぐに酔っぱらえる」と
いうのが期待されていた事だったんですよね
とにかく安く酩酊したい。なので、アルコー
ル度数を7%とかにしたりしてたんですよ。
安く酔っぱらえる⇒後味にウォッカを残す事
で、すぐに酩酊できると言う演出をしたんで
しょう。
そこから時が流れて、市場からの要求は、安
くてすぐに酔っぱらえる飲み物から、安くて
も、しっかり味わうに値す飲み物へ移ってい
ったんですね。
その流れで、本麒麟、金麦ラガーは、後味の
ウォッカ感を上手に処理するレシピに変えて
きたんでしょう。
本麒麟と金麦ラガーは、口に入った瞬間の味
わい充実感が明らかに2割増しです。そう、
原料を多く入れてますよ~的な濃さを感じさ
せてくれます。
ビールを飲みこんで、懸案事項の後味です。
本麒麟も金麦ラガーもですが、後味にウォッ
カが顕在化するのと同時にホップを思わせる
ハーブ感が、グイッと前に出てくるんです。
飲みごたえ感を充分アピールしつつ、ウォッ
カ感を残さない味付けなんですよ。大文字屋
的には、この方向付けが一番しっくりくるん
でいいんですが、ウォッカ感バリバリのが好
きだった人も居るんでしょうにね・・・
酵母と言う自然の力が介在しない、単に材料
を混ぜるだけで製品化できちゃう第三のビー
ルだからこそのドタバタなんでしょうね。
とにかく、酒屋は、商品の外観の違いに敏感
になって、試飲を繰り返さないと、存在意義
が無くなってしまうんじゃないでしょうか。
やっぱり酒屋は、飲まなきゃやっちゃダメ。
で、アサヒのリッチですよ。後味のウォッカ
が感じられるのと同時にハーブのニュアンス
があるんですが、このハーブ感、あんまり好
みじゃないんですよね。なので、やっぱり仕
入れませんワ。
ひとひねり、アサヒさんに期待しておきます
わ。